B*ちょっと うんちく

2014年5月 4日 (日)

海の仲間たち(Ⅲ):産卵行動・ジュゴン・タコ

 やんばるの森通信  抜粋記事

今から10年前、国頭ツーリズム協会(現:学びの森)理事だった頃に連載した、海の生物関係の記事をご要望にお応えして掲載します。
今見返すと、紙面の都合等で言葉が足りなかったりする箇所もありますので、少しお色直ししています。
全9話ありますので、3話づつ掲載しますね

美ら海どぅしぐわー ~国頭、海の生き物たち

熱帯魚

 魚達の産卵には様々なパターンがあって、そんな様子を10年以上も覗いていると 犯罪者の気持ちが解るような、そうでもないような・・・観察の方向(対象)を間違うと 大変な事に成り得るのかも(笑)

 愛しい魚の一つに「ネズッポ」という種類があります。 体長25cm程度にもなるコチなどは高級食材になるし、綺麗なニシキテグリは アクアリストに人気種らしいけど、小さなヤマドリ(と言っても魚)・ ○○テグリ・○○ヌメリなどの雑魚は多分多くの人の目には留まらないような 「居たの?」程度の認識も持たれない魚達なのでしょう。

 国頭の浅瀬の砂利地でよく見かけるコウワンテグリも体長僅か6cmの小魚。 ところが、この小さな魚の産卵シーンが感動物なのですよ!

魚

 日没近くなると縄張りの砂地をちょろちょろと走り(泳ぎ)回る雄が居ます。 4cmにも満たないような可愛い雌を誘っているんですね。 雄は踊るようにリズミカルに体を震わせ、背鰭を立て、雌の周りを回ってアピール。 誘い出しに成功すると優しくエスコートが始まります。

 雄の大きな胸鰭に小さな雌を乗せ、愛しそうにゆっくり真っ直ぐ上昇を始めます。 その姿はまるで白馬の王子様!!ディズニー(特にクラシック)の プリンセスファンタジーを彷彿とさせるラブシーンは、見ている者を夢の世界に 誘ってくれます。

 バックにワルツ、オーロラの七色ドレープ、ティンカーベルのキラキラ粉まで 見えるわぁ・・・と、あっちの世界に行きそうな私を後目に、カップルは精子と 卵子を放出してハートを描くように元の砂地に急降下。

 産卵の瞬間自体は前回のホンソメワケベラとさほど変りませんが、ネズッポ類 独特の「お姫様だっこ」は女の子の永遠の憧れなのねぇ♪ そんな私は夏太り・・・って・・・あららぁ。。。


海遊び・森遊び きじむなあ 服部美冬

H17/8

美ら海どぅしぐわー ~国頭、海の生き物たち

熱帯魚

◆ 海豚と言えばイルカ、海牛と言えばジュゴンやマナティ。沖縄移住後、年々海の哺乳類体形になってきた私としては、決して他人とは思えない面々なのだ。 海牛と言っても象に近い祖先から分かれたようで、逆に鯨類が牛や馬の祖先からの分家らしいからややこしい。

◆ 好き嫌いなし、おばぁの「かめかめぇ攻撃」も全て受け入れる私と違って、ジュゴンはかなりの偏食家で海草が好物のベジタリアン。なのにあの体形を維持できるって凄い、体重300kgのジュゴンの一日の食事量は20~25kgという量なので、食草のアマモ類も膨大に必要になるわけね。生域の北限で天然記念物でもある彼らのレストラン、アマモ類の茂る浜はどんどん消滅するばかり・・・自然界の法則ならばそれも仕方ないけれど、人為的なものだとしたら問題だわね。国頭村の自然海岸はもはや風前の灯火。海岸から繋がる浅瀬の藻場や珊瑚への影響も考えた工事をして欲しいものだわ。

◆ マナティやジュゴンは古くから人魚のモデルと言われ、その肉は不老不死の妙薬とされてきたし、沖縄では王様への献上品として珍重されたり、食料の乏しい時代は貴重な蛋白源だったりでその数は減ってしまったけれど、今は飽食の時代だし、医薬も発達したしで彼らに頼る必要もないのだから、せめてものお礼として彼らの住む環境くらいは守ってあげたいよね。

◆ 古い時代や南方の島々ではふくよかな女性が美しいとされ、陸上に上がらないまでも、脇の下にある乳房にすがって授乳する姿は多くの国々で憧れをもって擬人化されたくらいに、神秘的な生物だったわけ。

伝統的にも国頭村はジュゴンの里と言って過言ではないはず。彼らが今度こそのんびりと棲める海を作って欲しいなぁ。

海遊び・森遊び きじむなあ 服部美冬

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美ら海どぅしぐわー ~国頭、海の生き物たち

熱帯魚

アオイガイ
アオイガイ

◆ 浜で遊ぶのには気持ちの良いシーズンになりますね。浜を歩いていると不思議なものにも出会います。 実はゴミ袋片手に「今日はゴミ拾い」と出かけた日に「お宝」に出会うことが多かったりします。ご褒美かな?

◆ 拾い上げた時にはプラスチックのおもちゃのゴミ?と思ったこれは実はタコ。アオイガイという漂流ダコの殻です。(写真)殻を持つタコっていうのもなんだか不思議ですね。生息地は九州以南というから沖縄の沖合いには沢山泳いでいるのだろうけど、漂着や釣りで獲れるのは九州から北海道までの日本海側が多いようです。表層を漂っているので、寒い時期になると海流に乗って行ってしまうようですね。

ムラサキダコ
ムラサキダコ

◆ 波打ち際で見つけたのもヘンなタコ(写真)一瞬、深海のコウモリダコ?!と思ったら、これまた表層生活のムラサキダコでした。見つけたときにはまだ生きていて、表皮の色を虹色に変色させていましたが、程なく昇天。見る見る黒紫に変化して、妖しい秘密結社のマスクみたいになりました。穴は目ではなく水抜き用で、目のある側は銀白色です。

◆ 先日これらの生物がテレビ番組で紹介されていましたので、ご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんね。そしてそれは北の海の話だと思っている方も多いでしょう。日本海に行く生物も、太平洋に行く生物も、多くがこの沖縄から海流に乗って旅をします。それらの命を育む海を大切に思いながら、ゴミ袋片手に浜を歩いてみませんか? 素敵なご褒美があるかもしれませんよ♪

ネイチャーショップ 海遊び・森遊び きじむなあ 服部美冬

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海の仲間たち(Ⅱ):群れ・ヒッチハイカー・楽園

 やんばるの森通信  抜粋記事

今から10年前、国頭ツーリズム協会(現:学びの森)理事だった頃に連載した、海の生物関係の記事をご要望にお応えして掲載します。
今見返すと、紙面の都合等で言葉が足りなかったりする箇所もありますので、少しお色直ししています。
全9話ありますので、3話づつ掲載しますね

美ら海どぅしぐわー ~国頭、海の生き物たち

熱帯魚

 今回は「群れ」のお話をしましょう。繁殖の為に群れるのは人も魚も同じこと。 多くの出会いの中からより良い遺伝子を残す為に吟味を重ね競い合い、傷付け傷付 くのですねぇ。。。(遠い目・・)

 繁殖以外では、日々の生活の中でメリットのある群れ作りをします。餌を捕るため に群れるもの、捕られないために群れるもの、なんだか矛盾しているように思えま すがガーラのようなアジ類、ロウニンアジやツムブリカンパチ、マグロなどは囲い 込み漁をします。一匹では効率の悪い漁も群れれば楽に餌にありつける訳ですね。

 沖縄民謡の谷茶前節にもあるようにミジュンやスルルーといった小さなイワシ類も群れてい ます。小さな魚が群れるのは、スイミーのように寄り集まって大きな生物に見せるためとか、集まって いれば少しくらい食べられても種として逃げ果せることができるためとか、説は色 々あってそれぞれに正しいと思いますが、ちょっと面白いのがドーナツ現象!

魚

 有名なのはゴンズイで、稚魚の頃は重なり合ったドジョウのように一つの玉にな って泳いでいます。玉のままあちらの餌場からこちらの餌場に忙しげに移動する様 が可笑しくてついつい手を伸ばしたくなりますが、背鰭と胸鰭に毒刺を持っていて 刺されたら大変!と尻込みする人も多くいます。

クラゲ

 ところが、このゴンズイ玉のど真ん中にグーで手を突っ込んでみると・・「なん ということでしょう♪ゴンズイ達はドーナツのように手の周りで一定の距離を保っ て輪を作るではありませんか。(原注:これはクセになります)ミジュン(ミズン) もスルルー(キビナゴ)も同じ事をします。

 捕食者がやって来るとその魚を取り囲んでしまいます。これによって捕食者は方 向感覚を失い、周りで激しく水音を立てながら泳ぎ回る小魚に圧倒され、アタック をかけるタイミングを逃しそそくさと逃げ出すしかありません。これは積極的な群 れの活用法で、先程の話の中の、捕食者にとっては効率の悪い一例ですね。稀にダイバーなどが「お魚 さんに囲まれて一緒に遊んだの~♪」と喜んでいることがありますが、たぶん幸せ な勘違いなのでしょう。。。。。残念!

                              

海遊び・森遊び きじむなあ 服部美冬

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美ら海どぅしぐわー ~国頭、海の生き物たち

熱帯魚

 国道でたまに見かけるヒッチハイカーは無銭旅行の学生さん風がほとんどです が、沖縄で絶対に逆らえないのが「おばあ」。目が合ったら最後!運転手は催眠術にかけ られたかのようにブレーキを踏み、次の瞬間には助手席にお乗せして、目的地まで 延々身の上話を聞かされるハメになります。

 魚の世界にも「ヒッチハイク」という行動がありますが、コバンザメなどは大 きなサメやクジラなどにぴったりとくっついて楽々生活をエンジョイしています ね。ダイビングをしていると稀にいつの間にか付いていた・・などという経験をするダイバーさんもいま す。

 ダイビング中によく目にするパターンは稚魚が大き目の魚と一緒に泳ぐヒッチ ハイク行動。ガーラ類(ナンヨウカイワリやシマアジ等)の稚魚は大きなタマン (フエフキ類)などに寄り添って泳ぎ、捕食者から身を守っています。

 ユーアカー(ヒメジ類)のように砂を掘って餌を捕る魚にはベラなどがしつこ くくっついて泳ぎ、ちゃっかりおこぼれに預かっています。ベラ類は食欲から先 に生まれたような魚なので、ダイバーが巻き上げた砂や動かした石等があれば必 ずやってきて「なんかない?」と覗いています。

 ヘラヤガラなども時にはダイバーの陰に隠れながら移動して小魚を狙いますが、 ダイバーのような異様な物体が近づけば小魚も逃げてしまうので、あまり賢い選択 とは思えませんね。

魚

 ヒッチハイクをする側には益があるのですが、される側には害も無ければ益も 無いようです。近い将来「おばあ」なお年頃となる私としては、せめて小噺の一つでも仕入 れてドライバーさんを楽しませなければ・・・などと企む今日この頃だったりして。

海遊び・森遊び きじむなあ 服部美冬

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美ら海どぅしぐわー ~国頭、海の生き物たち

熱帯魚

 今年の冬は寒かったですねぇ~(すでに5月ですが)

世の中では沖縄(南の島)=楽園という都合の良い錯覚が蔓延していますが、 水温が高くて死んだ珊瑚や、水温が低くて死んだ熱帯魚、あるいは地震に津波等々の恐怖には常に頭の隅にあるものです。 本当の楽園はいずこ??

島国で地震大国日本は、同時に素晴らしい南北の自然に恵まれた国でもあり、良くも悪くも半々具合の振り幅が大きいワケですね。

 さて、恋愛は人生における楽園期間とも言えますが、沖縄の魚達は本州よりも繁殖期 の長いものが多く、特にこれからの時期にはのべつまくなしあちらこちらで求愛 カップル達が観察できます。種類によってはグループで怪しげな行動を取ったり もします。

 以前お話したホンソメワケベラは20m四方程度のテリトリー の各所に雌がクリーニングスティションを構え、雄はハーレム中の妻達の「店」 を巡回しながら求愛します。

 人も魚もプロポーズの時はドキドキするものらしく、雄は体を震わせながら目当 ての雌を誘います。誘われれば悪い気もしない雌は恥らいながらも(・・・かどう かは知らないけど)体をS字に色っぽくくねらせてOKサインを出し、ハーレムを抜け出して沖 へとデートに出かけます。

 卵が潮の流れに乗れる場所で、二匹は踊るようにルーピング(円を描くように回 転)しながら上昇して行きます。わずか10㎝程度の小魚が5m以上も! 文字通り、 天(海面?)にも昇るような心地なのでしょうねぇ。水面近くまで来ると二匹は素 早く精子と卵子を放出します。

魚

 ホンソメワケベラはクリーナーですから捕食者に襲われる危険が少ないので、 デートも気軽に楽しめるのかもしれません。デートを終えた雌はまた平然と「店」に戻り、 雄は次の妻をデートに誘います。繁殖期間中は延々とこれが続く訳で、甲斐性と体 力が必要な雄にとってはハーレム=楽園とは言い切れないかもしれませんね。

海遊び・森遊び きじむなあ 服部美冬

H17/5

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海の仲間たち(Ⅰ):クマノミ・オニヒトデ・ホンソメワケベラ

 やんばるの森通信  抜粋記事

今から10年前、国頭ツーリズム協会(現:学びの森)理事だった頃に連載した、海の生物関係の記事をご要望にお応えして掲載します。
今見返すと、紙面の都合等で言葉が足りなかったりする箇所もありますので、少しお色直ししています。
全9話ありますので、3話づつ掲載しますね

海の生き物たち ~美ら海どぅしぐわー~

魚

 アニメのお陰でクマノミが災難に遭うという事件が相次いだが、そろそろブー ムも下火になったのか、捕れそうなクマノミがいなくなったのか、沖縄の歌の文句じゃ ないけど「黄金の花」に心を奪われた人の多いことったら・・・で、今回の話は クマノミ。

 大ヒットしたアニメ「ファインディング・ニモ(Finding Nemo」の「ニモ(Nemo)」はクマノミの仲間 ですが、正確にはカクレクマノミではなく、オーストラリアに住むアネモネフィッシュ(Eastern Clown Anemonefish)です

映画でもクマノミ一家はイソギンチャクに住んでいましたが、実はこの「 一家」の構成が(本当は)面白いんです。まず、一家の中で一番大きな固体が母親です。魚 の世界ではよくあることですが、母親が死ぬと次に大きな固体が性転換してメス になり母親になり、次に大きな固体が父親になるわけです。

イソギンチャク

 子供達は皆、押掛け養子で、卵から孵るとすぐに別のイソギンチャクを捜して 旅に出ます。外敵に襲われやすい小さなクマノミはイソギンチャクの毒に守 られながら健気に子孫を残すというシステムを繰り返しているのですね。産卵期 にイソギンチャクをそっと捲ると、沢山の卵が産み付けられているのが判ります。 直後はオレンジ。茶、銀、金と変化して約1週間で孵化します。運が良ければ一 つのイソギンチャクに産み付けられたステージ(時期)の違う卵の集団を観察することも できますよ。

 日本にいるクマノミはクマノミ・ハマクマノミ・ハナビラクマノミ・セジロク マノミ・トウアカクマノミ・カクレクマノミの6種類。

イソギンチャク

 国頭の海ではその全てが見られますが、水深もイソギンチャクの好みも違うの で同じ浜で全てを観察する事は難しいかもしれません。イノー観察やスノーケリ ングではどんなクマノミが見られるか、どんなイソギンチャクに住んでいるか観 察するのも楽しいですね。

*冒頭のニモはアニメ(物語)ですから、設定や生態はフィクションです
 ネズミのミッキーが犬のプルートをペットにしたり、アヒルのドナルドが服を着ていたりというのは、とても楽しい夢物語で現実ではないことは誰もが知っています

 海の中も同様に、お話と現実の違いを知れば、もっともっと夢が広がるかもしれませんし、案外現実の方が面白いかもしれませんよ

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美ら海どぅしぐわー ~国頭、海の生き物たち

魚

 ゴッホの描いたヒマワリの様な、デフォルメされた太陽みたいなオニヒトデは、近 年になって人々に嫌われる存在になっています。その形態に不気味さを覚える原因は、 「悪」という刷り込みによる場合が多ようです。でも、何の情報も持たずに見つめれば、 案外ポップで可愛らしく見えるかもしれないですね。

 棘には毒があり、刺されれば猛烈な痛みを伴う様ですが、オニヒトデが好き好んで 襲ってくるわけではありません。異常発生をして珊瑚を食い尽くす行為も、オニヒトデ出 現以来100万年もの間繰り返されてきた自然の営みなのです。その都度、珊瑚礁は再生 を繰り返し成長してきたのでしょう。地球のサイクルが正常であれば、珊瑚は雑草の 様に着実に子孫を残せるはずですね。

イソギンチャク

 珊瑚礁は地球の大切な宝であり、それを破壊に導いているのは、埋め立て、護岸 工事、海水温の上昇、富栄養、化学薬品など、どこから見ても、人類が何らかの原因を作ってい る様に思えるのは私だけでしょうか?

オニヒトデ

 ダイビングなどのレジャー産業が盛んになったお陰で、オニヒトデが珊瑚を襲って いる直接的な映像が多くの人々の目に飛び込みました。結果、「オニヒトデ=悪」という とてもわかりやすい結論が出されてしまいます。とんだ濡れ衣を着せられたオニヒトデ の卵や珊瑚のポリプ以下の大きさの幼生は、逆に珊瑚に食われたり殺されたりしている と言うのに・・・。オニヒトデが生きる自然環境が本来の正常なサイクルであれば、伸びすぎたり、大きくなりすぎた珊瑚 の床屋さんの様な役割も担っているのです。

 お金が余っているのなら、珊瑚の植え付けや駆除に何億円使ってもいいけど、原因究明の方が先なんじゃない?人類と自然の共生 の為には、人間の都合や我を通すばかりではなく、折り合いも必要。近代化の利便性も自然も全てを 手に入れる方法は絶対にあるはず。(←他力本願?)

 まだまだ解明されていない自然界の生き物たち、どんな生命でもいらないものは無 いはずです。何かは何かの役に立ち、支え合い、みんなで命を繋いでいるのにね。

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美ら海どぅしぐわー ~国頭、海の生き物たち

熱帯魚

 小さな魚は大きな魚に食べられるという弱肉強食の世界で、ホンソメワケベラは 大きな魚に癒しのひと時を与える術を身に付け、しかも食事と仕事を同時にこな す要領の良い世渡り上手です。

 魚の世界では「ホンソメワケベラ・エステサロン」と言えばビッグネームで、 たまに他の魚の稚魚などが真似をしてちょっこっとバイト(?)をする事もありま すが、人間で言えば子供の「肩たたき券」のようなものでプロの技には遠く及ばな いようです。幸せ感はMAXですが、技術的には間に合わせの気休めといったところでしょうか?

 また、どんな世界でも有名になれば偽者が現れます。ニセクロスジギンポはホン ソメワケベラそっくりな体で客引きをしてお客様の体を食べてしまいます。 怒ったお客様は追いかけますが、すばしこいニセクロスジギンポはさっさとサンゴや 岩穴に逃げ込んで「ごちそうさま♪」

 そこまでの人気ですから「ホンソメワケベラ・エステサロン」はいつもお客様で いっぱい。特に水温の高い夏から秋にかけては寄生虫も付き易い時期なので、沢山 の魚達がお行儀良く順番待ちをしています。
海の中で、お魚たちが行列して待っている姿なんて、想像するだけでも楽しいですよね♪

ホンソメワケベラ
上がホンソメワケベラ、下がニセクロスジギンポ、目つき以外は殆ど同じに見えます。

 魚たちは自分の順番が来ると進み出て「今日は鰓が痒いのよ~」「歯に何か挟まったみた い」とか、「背中の・・あーそこそこ!」と体を預けます。 魚にも感情表現のようなものがあり、体色を変化させますが、この時の魚達は皆一 様にゆったりと水中に漂いながら幸せ色を輝かせます。あまりの気持ち良さに我々 人間が近づいても逃げ出す事すら忘れている個体もいます。

 このようなエステサロン(クリーニングステーション)は数メートル間隔に離れ て営業していますが、小さな雌が営むお店はあまり人気が無く、忙しい時期には大き な雌のお店に借り出される事が度々です。
「今日はヘルプ頼まれてるの~」と、経験を積み、徐々に腕を磨いてゆくのでしょうね

なんだか人間界と似ていませんか?

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2014年4月 4日 (金)

イルカンダがくれたもの

Aimgp3635 今年はイルカンダの花が沢山咲いた
例年は頭の遥か上とか、森の奥深くに透かし見える花房も目の前で観ることが出来る

で、疑問が湧いた
シベの見える房が少なすぎるのだ

落ちた花を見ても花数の一割程度にしかシベが見え無い

いつもは先を急ぐので、そこに留まってゆっくりと観察することも出来ず、疑問は頭の片隅に収まっていた

以前、イルカンダの実と莢は共に成長するのではなく、莢が先に成長し実の大きさを決めていることを発見したことがあったけど、花は何を教えてくれるのかワクワク度は増し、こんなかな?あんなかな?の妄想はどんどん育っていった

Aimgp3683 ある日、たまたま通った道にイルカンダの花が沢山落ちていたので、嬉々として持ち帰り、謎解きをしてみた・・・ら、シベが出るにはまだ早かっただけということが、地味に判明
花が開くに連れ、鈎状の莢(一種の花びら?)も開き、中からシベが現れる仕掛けになっていた
Aimgp3669 花の中には蜜がいっぱいで、小さな虫たちが結実の手伝いをするのだろう
特に香りもない花は、オシベメシベが出る前からこの蜜で虫をさそっているようだ

Aimgp3668 少し膨らみのある雌蕊を裂いてみると、中から小さな実がでてきた
大きなイルカンダの莢からは想像もつかない、小さな小さな種は0、3mmあるかないか・・・
一列に綺麗に並んで、大きな種になる日を待っているようで面白い

私の小さなワクワクの種も、そのまま落ちて忘れられたり、今回のように発見の実をつけたり・・・自然はわからない宝物だらけだね

2013年9月19日 (木)

今宵十五夜

Imgp2552台風の影響で空を行く雲が早くて、晴れ後曇り後雨後曇り後雨後晴れ後・・・という夜空に、満月が明るい

Imgp2550_2沖縄の月見団子は「ふちゃぎ」
魔除けの小豆を餅(団子)にまぶしたもので、一見おはぎのように見えなくもない
Wikipedia参照 ←うんちく人任せ

本来は軽い塩味だったようだが、現在では「甘ふちゃぎ」他様々な味も楽しめるみたい
Kc4a01400001子供の頃に食べた月見団子も甘くはなく、あれは飾り物という認識でしかなかったけど、ススキと共に縁側に置かれた小さなまぁるいお団子は、満月の中でウサギがついたお餅のようで可愛かった

東京育ちの私にとって「ふちゃぎ」は、どうしてもビジュアル的に「どうよ?」感に支配されていたのだが、スーパーの雰囲気に押され今年はついに買ってみた
持ち上げるとブニョンと垂れ下がってしまうほどに柔らかな餅(団子)に、びっしりとまぶされた小豆は、さっぱりとして素朴でなかなか美味しかった
途中からお醤油つけちゃったけど、ちょっとバターで焼いてもいいかもしれない
こんな邪道な食べ方でも魔除けになるのかなぁ?

2012年5月15日 (火)

ヤンバルクイナの

Hina3生態も、地元の観察者達によって少しずつ解明されている

夕べのNHKBSにもあったように、ただのおっとりとした鳥ではないし、食事の仕方もなかなか興味深いものがあったりする

Hina2行動を見ていると頭は悪くなさそうだけど、車にはよく轢かれている
まだまだ彼らの中では危険なものとして把握されていないのだろう

鳥類の多くのヒナ(動物も)は、危険が迫ると身を屈めて時を待つ習性があるが、ヤンバルクイナのヒナは歩き回っている最中にも頻繁にこの姿勢をとってしまう
これが藪の中なら有効な手段になるのだろうが、舗装道路の真ん中でもやってしまうのは事故の元

ドライバーのみなさん、道路の丸い塊りにもご注意を。。。

2012年1月22日 (日)

リュウキュウアサギマダラ

A7b寒い日が数日続くと「沖縄なのになぁ~」と、落ち込んだ気分になる季節
23日は旧暦の元旦
四季が無いと思われている沖縄でも、しっかり四季を感じられる曇り空が続き、やっぱり北半球の元旦は寒くなければいけないような気にもなってくる

A1やんばるは奥が深い
寒ければ寒いなりに夢中になれる対象が現れるものだ

“やんばる みぃっけ”にもアップしたリュウキュウアサギマダラは集団で冬越しをする蝶
気温15℃以下になると、このように集まって寒さを凌ぐが、どんな場所や樹でも良いわけではなく、風の当たらない森の中の窪地などで、しかも光が優しく差し込むような環境
A6aハブと格闘しながら藪漕ぎをするのは危険すぎるし、マツタケ同様に教えたいけど守りたいというジレンマが付きまとうので、ツアーもなかなか出来ない

奄美以南の琉球列島が北限の蝶なので「夢にまで見る」ほど憧れているファンの為にも、生息地が増え「どこでも見られるさぁ」と言える日が来ることを願うばかりですね

Asagi本州にも生息し長距離を旅するアサギマダラはアサギマダラ属(右写真上)
羽下部の茶色が薄くて目立つ

リュウキュウアサギマダラはリュウキュウA12aアサギマダラ属で、同じマダラ蝶科でも属が違い、少し小ぶりで柄も細かい(右写真下)

2011年6月 4日 (土)

ケナガネズミは増えているか?

Dsc_4772c  ハマちゃんが、可愛い写真を沢山撮ってきたので、“やんばる みぃっけ♪”では、特集中になってしまったケナガネズミ

初秋頃から繁殖が始まって、子ネズミ達が見られるのは春頃までというのが定説だけど、今年は今頃になっても怖いもの知らずの子ネズミ達が元気に遊んでいる
この頃の気象の関係で繁殖期がずれたのか、元々の生態なのかは今後の観察研究にかかっているのかな
Dsc_4778b 一属一種とはいえネズミだから、ネズミ算式繁栄法もあり?

「定説」などというものは破られる為にある・・・というか、定説を乗り越えて真実に近づくワケで、以前書いた食物関係も同様

Kenaga1a 表題の「増えているか?」に関しては、ジレンマの渦に巻き込まれてしまうのだけど、たぶん増えているのは彼らを追いかけまわす人間なのだろう
人間が増えれば定説を崩す時間も早くなるけど、生物たちの平和な夜は少なくなる(ならば研究なんてどうでもいいと思ってしまう私がいたり・・・)
Dsc_4779b ほんの数年前までは「ほぼ居ない」とされていて、たまに「見た」と言っても相手にもされなかったのが、存在情報などの露出度が増えてくるとあちらこちらからにわか観察者やらにわか研究者やらやらがわらわらと国頭村の森に集まって煌々とライトを照らしながら目暗滅法走り回る

Dsc_4768a  「A地点で見た」「B地点で見た」という情報はあっという間に広まり、一匹のネズミを何人もが見ることになる
注目を浴びているので、車に轢かれた個体も報告される

ヤンバルクイナなども同様だけど、目視確認できる人が増えたと見るほうが妥当だと思うのと同時に、工事などが終わって環境が落ち着けば生物は再び戻って来る訳で、森の奥に逃げていたものが見やすい場所で生活を始めることもある
総合的に見て「増えた」とか「何匹轢かれた!絶滅だ!!」と騒ぐのは短絡的すぎやしないかな?

2010年11月14日 (日)

ケナガネズミのお食事色々

364aa 浜ちゃんが、毎晩のようにケナガネズミの観察に行くことは、多くのお客様がご存知ですが、何をしているのかと言うと「行動観察」で、テリトリー・鳴き声・繁殖などなどです。その一つの「食事」についても、今までは2~3種類程度しか解明されていませんでした。

600a  学者達が論文を発表するまでには、調査や観察などに膨大な時間を費やしますが、その為には現場に足しげく通う、又は数年は住み込まなければなりません。
その為の調査研究費なども機関によってまちまちでしょうし、何の役に立つかも判らない野生生物への費用はなかなか下りないのも実状のようで、海でも陸上でも「自然」に関しては「わからない事だらけ」というのが現状で、世の中に出回っている「事実」よりも、我々のように日々自然と接している観察者のほうが「真実」を知っている場合も少なくありません。

469a_2 ただ、見たいが為に強力なライトやコールバックなどで観察対象の生活を脅かしたり、やらせや餌付けで成果を得るような無謀な(営利目的な)観察者が居ることも多く、ルール作りがしばしば話題に登るのは悲しいことでもあります。時代はエコからエシカルへ。 思いやりをもって、遠慮がちに、自然と付き合ってゆきたいものです。

697a 以下は浜ちゃんの観察の成果(の一部)、この二年間で観察されたケナガネズミの食採です。
2~3種と言われていたことからすれば、ものすごい進歩ですね!

植物
スダジィ(イタジィ)・マテバシィ・リュウキュウマツ・アブラギリ・イジュ・ハマセンダン・山桃・ホルト・ノボタン・ハゼ・イヌビワ・ゴンズイ・エゴ・ヤブツバキ
動物
ミミズ・イモリ・虫・ナメクジ

観察・写真:崎浜秀人

2010年9月17日 (金)

シバサシの日

San_2 旧暦8月10日頃は下半期の厄払い

午前中に来た友人が「今日だよぉ」と言いながらくれたサンを家の入り口に(ポストだけど)差してみた

本来は家の四隅に、ススキとクワの枝で作ったゲーンやススキだけのサンと呼ばれる魔除けを差して、お供え物を用意し神々に祈る日

165a お供え物は、白紙・線香(12本と3本を8組&トイレの数分)・果物・お餅・ビンシー(酒・水・塩・米)+ゲーン(またはサン)のセット

最初は火の神(ヒヌカン)から、次に北、東、南、西、門、トイレの順に拝んで廻る
拝む文句にも決まりごとがあるのだけど、拝んだこともない私が書くとバチが当りそうなので止めておこうね(←案外気が小さい)

知りたい方は、沖縄に来た時に「御願ハンドブック」でも買ってちょうだい(って、まわしものじゃないんだけど・・)
御願(ウガン)やウートートー(ナームーのような枕詞)に満ち溢れた沖縄で、ハンドブックがベストセラーってことは、案外みんなも知らない事が多いらしい
昔からの習慣でやってはいるものの「これで当たってる?(あってる?)」みたいな。。。

私のように、思いっきりなんちゃってウガンな人でもサンをさりげなく渡されれば嬉しいし、毎月何度もある御願の日に、ちゃんとウートートーしているお年寄り達はなんだかかっこいいと思ったりもするのだけど、なにせ凝り性な性分なのであまりのめり込まないようにしないと大変なことになりそう

次の行事予定は十五夜(ジューグヤ)
フチャギ(小豆をまぶした餅)でも買ってみようかな・・・

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