海の仲間たち(Ⅲ):産卵行動・ジュゴン・タコ
やんばるの森通信 抜粋記事
今から10年前、国頭ツーリズム協会(現:学びの森)理事だった頃に連載した、海の生物関係の記事をご要望にお応えして掲載します。
今見返すと、紙面の都合等で言葉が足りなかったりする箇所もありますので、少しお色直ししています。
全9話ありますので、3話づつ掲載しますね
美ら海どぅしぐわー ~国頭、海の生き物たち
魚達の産卵には様々なパターンがあって、そんな様子を10年以上も覗いていると 犯罪者の気持ちが解るような、そうでもないような・・・観察の方向(対象)を間違うと 大変な事に成り得るのかも(笑)
愛しい魚の一つに「ネズッポ」という種類があります。 体長25cm程度にもなるコチなどは高級食材になるし、綺麗なニシキテグリは アクアリストに人気種らしいけど、小さなヤマドリ(と言っても魚)・ ○○テグリ・○○ヌメリなどの雑魚は多分多くの人の目には留まらないような 「居たの?」程度の認識も持たれない魚達なのでしょう。
国頭の浅瀬の砂利地でよく見かけるコウワンテグリも体長僅か6cmの小魚。 ところが、この小さな魚の産卵シーンが感動物なのですよ!
日没近くなると縄張りの砂地をちょろちょろと走り(泳ぎ)回る雄が居ます。 4cmにも満たないような可愛い雌を誘っているんですね。 雄は踊るようにリズミカルに体を震わせ、背鰭を立て、雌の周りを回ってアピール。 誘い出しに成功すると優しくエスコートが始まります。
雄の大きな胸鰭に小さな雌を乗せ、愛しそうにゆっくり真っ直ぐ上昇を始めます。 その姿はまるで白馬の王子様!!ディズニー(特にクラシック)の プリンセスファンタジーを彷彿とさせるラブシーンは、見ている者を夢の世界に 誘ってくれます。
バックにワルツ、オーロラの七色ドレープ、ティンカーベルのキラキラ粉まで 見えるわぁ・・・と、あっちの世界に行きそうな私を後目に、カップルは精子と 卵子を放出してハートを描くように元の砂地に急降下。
産卵の瞬間自体は前回のホンソメワケベラとさほど変りませんが、ネズッポ類 独特の「お姫様だっこ」は女の子の永遠の憧れなのねぇ♪ そんな私は夏太り・・・って・・・あららぁ。。。
海遊び・森遊び きじむなあ 服部美冬
H17/8
美ら海どぅしぐわー ~国頭、海の生き物たち
◆ 海豚と言えばイルカ、海牛と言えばジュゴンやマナティ。沖縄移住後、年々海の哺乳類体形になってきた私としては、決して他人とは思えない面々なのだ。 海牛と言っても象に近い祖先から分かれたようで、逆に鯨類が牛や馬の祖先からの分家らしいからややこしい。
◆ 好き嫌いなし、おばぁの「かめかめぇ攻撃」も全て受け入れる私と違って、ジュゴンはかなりの偏食家で海草が好物のベジタリアン。なのにあの体形を維持できるって凄い、体重300kgのジュゴンの一日の食事量は20~25kgという量なので、食草のアマモ類も膨大に必要になるわけね。生域の北限で天然記念物でもある彼らのレストラン、アマモ類の茂る浜はどんどん消滅するばかり・・・自然界の法則ならばそれも仕方ないけれど、人為的なものだとしたら問題だわね。国頭村の自然海岸はもはや風前の灯火。海岸から繋がる浅瀬の藻場や珊瑚への影響も考えた工事をして欲しいものだわ。
◆ マナティやジュゴンは古くから人魚のモデルと言われ、その肉は不老不死の妙薬とされてきたし、沖縄では王様への献上品として珍重されたり、食料の乏しい時代は貴重な蛋白源だったりでその数は減ってしまったけれど、今は飽食の時代だし、医薬も発達したしで彼らに頼る必要もないのだから、せめてものお礼として彼らの住む環境くらいは守ってあげたいよね。
◆ 古い時代や南方の島々ではふくよかな女性が美しいとされ、陸上に上がらないまでも、脇の下にある乳房にすがって授乳する姿は多くの国々で憧れをもって擬人化されたくらいに、神秘的な生物だったわけ。
伝統的にも国頭村はジュゴンの里と言って過言ではないはず。彼らが今度こそのんびりと棲める海を作って欲しいなぁ。
海遊び・森遊び きじむなあ 服部美冬
H18/1
美ら海どぅしぐわー ~国頭、海の生き物たち

アオイガイ
◆ 浜で遊ぶのには気持ちの良いシーズンになりますね。浜を歩いていると不思議なものにも出会います。 実はゴミ袋片手に「今日はゴミ拾い」と出かけた日に「お宝」に出会うことが多かったりします。ご褒美かな?
◆ 拾い上げた時にはプラスチックのおもちゃのゴミ?と思ったこれは実はタコ。アオイガイという漂流ダコの殻です。(写真)殻を持つタコっていうのもなんだか不思議ですね。生息地は九州以南というから沖縄の沖合いには沢山泳いでいるのだろうけど、漂着や釣りで獲れるのは九州から北海道までの日本海側が多いようです。表層を漂っているので、寒い時期になると海流に乗って行ってしまうようですね。

ムラサキダコ
◆ 波打ち際で見つけたのもヘンなタコ(写真)一瞬、深海のコウモリダコ?!と思ったら、これまた表層生活のムラサキダコでした。見つけたときにはまだ生きていて、表皮の色を虹色に変色させていましたが、程なく昇天。見る見る黒紫に変化して、妖しい秘密結社のマスクみたいになりました。穴は目ではなく水抜き用で、目のある側は銀白色です。
◆ 先日これらの生物がテレビ番組で紹介されていましたので、ご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんね。そしてそれは北の海の話だと思っている方も多いでしょう。日本海に行く生物も、太平洋に行く生物も、多くがこの沖縄から海流に乗って旅をします。それらの命を育む海を大切に思いながら、ゴミ袋片手に浜を歩いてみませんか? 素敵なご褒美があるかもしれませんよ♪
ネイチャーショップ 海遊び・森遊び きじむなあ 服部美冬
H18/3
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